山風湖浪 漣からびわ湖の風を読む

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「さざなみの…」と、始まる詞は滋賀、あるいはびわ湖の枕詞である。この枕詞を目にし、耳にするとき、波静かな湖面を思い、びわ湖は常に穏やかだと、誰もが想像する。

しかし、びわ湖もときには牙を剥くこともある。恐ろしいのは北湖が牙を剥いたときだろう。三㍍を優に越す三角波に襲われると小さな船はたまったものではない。こんなとき、びわ湖を知る人は、緊急時以外は船を出さない。

元凶の一つが「比良颪」である。比良山の麓を走るJR湖西線では、列車が転覆したことが度々あった。幸いに貨物列車だった。もし客車だったらと思うとゾーとする。

南湖では「比叡颪」である。ヨットマンは「比叡颪」を嫌がりつつも、風を読むトレーニングと言って、挑戦を続けるという。この「風を読む」とは、 換言すれば変化を事前に知ることであり、同時に変化に対応する手を事前に打つことだとも言えよう。

今、世界ではアメリカのトランプ大統領の嵐に右往左往している。それはトランプの風が読めないからではなかろうか。

びわ湖の安全と発展を図るうえで 湖上は元より周辺の見えない風を、「さざなみ」から読み取らねばならない。つまり「先手必勝」だ。

認定特定非営利活動法人 びわ湖トラスト

理事長  山田 能裕

2017年3月吉日

絵 Brian Williams

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