環境学習船 megumi に乗って びわ湖の中をのぞいてみよう!!

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 平成24年10月20日快晴のもと、大津港からの参加者とスタッフを乗せてmegumi号は大津港を出港し、彦根港を目ざしました。彦根港ではボランティアとして手助けしてくれた聖泉大学の学生さんたちが、既に参加者の点呼を完了していました。今回は保護者22名、子供さん15名の37名の参加を得ました。そして、予定どおり10時30分に彦根港を出港しました。



 まず、人数確認のあと主催者からの挨拶とオリエンテーションを行いました。そして、琵琶湖汽船(株)の中村さんから、船内での注意すべき事項や、太陽電池と風力発電を搭載したエコ船megumi号のお話がありました。そうこうしているうちに、多景島が見えてきました。いよいよ多景島に着船して、環境学習の開始です。最初は立命館大学の中島先生と西田さんによる透明度の測定とプランクトンの採集です。透明度は、白い円盤(セッキ板)を沈めて行き、円盤が見えなくなった深さを調べます。皆が注視するなか、4.5mでセッキ板が見えなくなりました。採集されたプランクトンは後で顕微鏡で観察します。


 次は、湖底調査です。今回は、立命館大学川村研究室の全面的な協力を得ました。川村研究室では、湖底の映像が撮影できるRTVと、映像撮影と湖底の泥や石がサンプリングできる水中ハンドリングロボットARTEMIを準備していただきました。船内では、RTVの映像が魚たちの泳ぎ回っている様子やARTEMIの動きを捉えています。また、船上からも2つのロボットの動きをかたずをのんで見守っていました。


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 あまりにも天気がよく、またスケジュールにも余裕があったので、予定では割愛することになっていた多景島上陸を行いました。15分間という短い時間ではありましたが、結果的には保護者の方や子供さんたちからも、多景島はなかなか行けないのでよかったという意見をいただきました。
 左の写真は多景島から、近江八幡湖岸を望んだものです。


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 次は南湖の調査です。琵琶湖大橋港を目指してmegumi号は進みます。途中、琵琶湖で最も小さい島、4つの岩からなる「沖の白石」を周回しました。見る方向によって3つの岩にも1つの岩にも見える奇妙な島です。



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 琵琶湖大橋港に到着するまで、船内では水槽を使った「琵琶湖の深呼吸」のモデル実験を実施しました。「琵琶湖の深呼吸」とは、琵琶湖には春先に酸素を含んだ融雪水が流れ込み水の縦循環が起こることです。冷たい青い水が水槽の中で循環する様子に子供たちは目をみはりました。さあ次は、楽しい昼食です。少し風がありましたが、好天の中megumi号の2階やデッキに出て昼食をとる家族もありました。


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 琵琶湖大橋港に着船して、中島先生と西田さんによる透明度の測定とプランクトンの採集を行いました。透明度は1.7mで、北湖の4.5mと比べると、2.8mも低いことが分かりました。川村研究室のRTVも湖底の様子を映し出しました。濁っていてあまりよく分かりません。水中ハンドリングロボットARTEMIは、写真に示すような湖底の泥を採集することに成功しました。参加者から、水深いところに魚がいるどころかヘドロでびっくりしたという感想が寄せられました。



 megumi号は琵琶湖大橋港を出港し彦根港にもどります。船内では、中島先生の指導によるプランクトンの観察をしました。今回は、オーパルさんから14台の顕微鏡を貸していただき、各テーブルに1台ずつ配置しました。先生にはプレパラートの作製から観察まで指導していただきました。プランクトンが顕微鏡の中で動く様子や写真に示すような珍しいプランクトン(クラミドモナス)が見つかるなど先生と西田さんは大忙しです。


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 次は、川村先生による「ロボットのお話」です。今回活躍したARTEMIは、湖底観察以外にもグリッパーや湖底の泥などの採集ができるなどの機能を有し、立命館大学と応用地質(株)の共同研究の成果です。


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 彦根港着船までの間、高木事務局長考案の恒例のクイズ大会です。漢字に関する問題では、子供さんや保護者も首をかしげるなか、聖泉大学の中国からの留学生が一発回答するなど、さすが漢字の国からの留学生と皆をうならせました。



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 そして15時30分に無事彦根港に帰港しました。彦根港桟橋で、「琵琶湖きれいに!」のエールのもと記念撮影して解散ですが、大津港から乗船した参加者やスタッフは再度乗船して大津港に戻ります。お疲れさんでした。協力していただいたスタッフの皆さん、立命館大学の先生方や学生さん、聖泉大学の学生さん有り難うございました。アンケートによると、90%近い参加者が「とても良かった」「良かった」と回答しており、特に子供さんたちから「楽しかった」「また行きたい」「プランクトンの観察は面白かった」「琵琶湖をきれいにします」などの意見が寄せられました。本取組も今回で3回目になりますが、いろいろ工夫しながら更に充実させたプログラムにして行きたいと思います。なお、本行事は、公益財団法人平和堂財団から全面的な助成を受け、そして共催していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。


(びわ湖トラスト理事 浅野昌也)